投資を始めたほうがいい。
頭では分かっている。
でも、怖い。
私も同じです。
「少額からなら大丈夫」
「慣れれば気にならなくなります」
投資の記事を読むと、よく出てくる言葉です。どの記事を読んでも、私の怖さは消えませんでした。
私は50歳の会社員です。2018年から8年間、一度も積み立てを止めていません。
この記事に書くのは、次の3つです。
読み終えるころには、怖いままでも続けられる理由が分かります。
先に答えを書きます。
株に対する怖さは消えません。
8年積み立てて、FP(ファイナンシャルプランナー=お金の相談に乗る資格)まで取った今でもです。
ちょきまる怖さを消す方法ではなく、怖いまま続ける方法の話です。
「株は怖い」と、私は教わって育ちました
私が投資を怖いと思っていたのは、性格のせいだけではありませんでした。
育ってきた環境も理由です。
親の口ぐせは「貯金をしなさい」でした
子どものころから、何度も言われました。お年玉をもらえば貯金。働き始めてからも貯金。お金は、銀行か郵便局に預けるのが当たり前でした。
親にとって、株はもってのほかでした。
私が子どものころ、貯金の利息は年8%もありました
大人になってから調べて驚きました。親の世代には、預けておくだけでお金が増える時期があったのです。
| 時期 | 郵便貯金・定額貯金の年利 |
|---|---|
| 1978年4月 | 4.75% |
| 1980年4月 | 8.00% |
| 1990年9月 | 6.33% |
| 2026年9月現在(ゆうちょ銀行・定期貯金1年) | 0.500% |
(出典:日本郵政「日本郵政グループのあゆみ」資料編、ゆうちょ銀行「金利一覧」2026年9月20日時点)
⚠️過去の定額貯金と現在の1年定期は、預ける期間も条件も違います。そのまま倍率で比べられる数字ではありません
利息が年8%もつくなら、わざわざ株を買わなくても、お金は増えていきます。
テレビや雑誌で見る株の話は、いつも悪いニュースでした
株が話題になるのは、たいてい何かが起きたときです。
- 暴落した
- 会社が潰れた
- 株券が紙切れになった
株についての悪いニュースばかり見ているうちに、「株=危ない、胡散臭い」というイメージが出来上がっていきました。
怖いと感じていたのは、私だけではありません。
株を一度も持ったことがない人に「なぜ買わなかったか」を聞いた調査があります。50代の男女いずれでも、2〜3割が次の2つを挙げています。
- 十分な知識をまだ持っていない
- 値下がりの危険がある
(出典:日本証券業協会「2024年度 証券投資に関する全国調査」図表5-8。複数回答)
最初に買った株は、増やすためではなく優待目的でした
怖がっていたのに、私は株を買いました。積み立てを始めるより前の話です。
何も知らないまま、優待に惹かれて買いました
買ったのは、大手スーパーの株です。
当時の私は、株の仕組みをまったく分からないまま、株主優待という制度があると知りました。株主になると、買い物のたびに割引や還元が受けられます。
怖い一方で、株を持ってみたい気持ちもありました。買った理由は、次の2つです。
- 株を持ってみたかった
- いつもの買い物がお得になる
値上がりで増やそうとは、考えていませんでした。
ただし、今から始める人に同じ順番はすすめません
正直に書きます。私と同じ順番を、あなたにすすめるつもりはありません。
持っている株が1社だけだと、お金の行方はその会社の業績しだいです。企業が破綻すれば、個別株は紙切れになりかねません。
幅広く分散すれば、特定の会社にかたよるリスクは抑えられます。ただし、値下がりや元本割れはあります。
私は、分散など考えずに優待から入りました。運が良かっただけだと思っています。
トランプ氏が選挙で勝った日、私は怖くなって株を売りました
この記事でいちばん伝えたいのは、私の失敗談です。恥ずかしい話ですが、隠さずに書きます。
きっかけは、アメリカの大統領選挙でした
2016年11月9日。トランプ氏が勝ったと分かった日です。
その日の東京市場は、朝は前の日より高く始まりました。ところが、その後急落します。終わってみれば、日経平均(日本の株式市場全体の動きを示す目安)は919円安。率にして5.36%の下落でした。
高値と安値の差は、1日で1,316円ありました。(出典:日経「日経平均クイズ18」ほか。値幅は高値と安値から算出)
私が投票したわけでもない、よその国の選挙で、持っている株の価値がどんどん下がっていく。
自分のお金が減っていくのを、ただ見ているしかありませんでした。
その日のうちに、持っていた株を売りました
そのとき私は、通信会社の株を持っていました。つみたてNISAを始める1年ほど前です。
何度も画面を開きました。見るたびに、株価は下がっていきます。冷静ではいられませんでした。
株なんか、やるんじゃなかった。
このまま持っていたら、もっと下がるんじゃないか。その日のうちに、通信会社の株を売りました。
次の日には、戻っていました
翌日の日経平均は、1,092円高。率にして6.72%の上昇でした。前の日に下げた分を、上回って取り戻しています。
⚠️919円・1,092円は、日経平均という市場全体の数字です。私が持っていた株が、同じように動いたわけではありません。
私が売った株も、値段が戻っていました。安く売ってしまったので、買い戻せませんでした。
売らなければよかった。激しく後悔しました。
投資家のチャールズ・エリスは、株価が大きく上がる瞬間を稲妻にたとえています。いつ光るかは分からないので、その日に株を持っていないと、大きな上昇を逃します。
J.P.モルガンの試算では、2006年から2025年まで米国株に1万ドルを入れっぱなしにすると、最終額は約8万ドルでした。
上昇率が高かった10日だけを逃すと、約3.6万ドル。半分以下です。
しかも、その10日のうち6日は、大きく下げた日から2週間以内にありました。
(出典:J.P.モルガン・アセット・マネジメント「Principles for a successful retirement」S&P500・配当込み)
⚠️**過去の指数をもとにした試算です。**手数料は含まれず、将来の結果を約束するものではありません。
私はまさに、稲妻が光る前日に、自分から相場を降りていました。



怖くて売って、次の日に後悔しました…。
8年たった今も、怖さは消えていません
2018年に積み立てを始めてから、8年が過ぎました。
株価は、世界情勢や景気にも左右されます。私にはどうにもできません
株価は、私の意志では動きません。
- 世界情勢
- 景気
- 会社の不祥事
どれも、自分の力がまったく届かないところで決まっていきます。
持っている株がマイナスになっていると、やっぱり落ち込みます。8年続けても、慣れません。
株価が上がるのはゆっくりですが、下がるときは一気です
私の実感では、株価が上がるときはじわじわです。
ところが、不景気や不祥事があると、下がるときはあっという間です。8年見てきて、何度も思い知らされました。
上がるのを待つ時間は長く、下がる時間は短い。だから怖いのです。
毎日見ていた株価を、今は週に一度しか見ません
では、株を買ったころと何が違うのか。
優待の株を買ったころは、毎日画面を見ていました。上がっていれば嬉しい。下がれば「売ったほうがいいのかな」とそわそわする。毎日の株価に、気持ちが振り回されていました。
きっかけは、本での勉強でした。株で大事なのは、短い期間の上がり下がりではなく、長い時間をかけた成長だと知ったのです。(この本の話は、別の記事でくわしく書きます)
長い目で見れば上がっていく、と思えるようになってから、今日いくら下がったかを見る意味がなくなりました。
今は、画面を見るのは週に一度くらいです。見ても、上がった下がったはほとんど気にしていません。
⚠️ただし、下がっても続けられるのは、生活費とは別のお金で投資しているからです。生活が苦しくなれば、人は売ります。売るかどうかは、気持ちだけでは決まりません。
くわしくは、こちらの記事に書きました。


まとめ|怖さは、消さなくて大丈夫です
この記事の要点は、次の3つです。
- 私の怖さは、育った環境からも来ていた
- 私は怖くて株を売り、次の日に後悔した
- 8年たっても怖い。でも長い目で見られる
「慣れれば怖くなくなりますよ」と言う人がいます。私は8年続けても、慣れませんでした。
でも、続いています。
怖さを消したからではありません。長い目で見る考え方を、あとから身につけたからです。
今日の一歩|「株価を毎日は見ない」と先に決めておく
始める前に、「株価を毎日は見ない」と決めておいてください。
ただ、考え方はすぐには変わりません。私も、本で勉強する前に一度、下がっていく株価を見て怖くなり、売ってしまいました。
変わるまでのあいだは、毎日の株価の動きから距離を置いてください。
方法は簡単で、見なければいいだけです。すでに始めている方も、証券会社のアプリを開く回数を減らしてみてください。
怖さは、消さなくて大丈夫です。
怖いままの私でも、8年続いています。

